たとえば、ちょっと考えてみればジョン・レノンが大金持ちだったことはだれにでもわかる。
だけど、ジョンが
「世界はお金じゃない、愛だ」
といえば、お前は大金持ちだろ、何て思うこともなく、みんな納得した。
百ドル札を数えている印象的な写真があったが、とても何千万ドルも稼いでいる男のお金の扱い方には見えない。
尾崎豊はじつは明るい性格だったらしく、結構ギャグを言い散らかすタイプだった、らしい。
尾崎に思い入れはないので確証を集めたことはないのでよくわからないが、印象的な話として、本人をよく説得してそういうキャラクターは表に出さないように管理していた、というのをどこかで読んだ覚えがある。
じつにいい配慮だったと思う。
ファンはファンとしての尾崎像を持っていて、それを壊さないようにマネジメントすることは、ある意味、マナーのようなものだったと思う。
そして、家入レオ。
このひとは容赦がない残虐な歌姫だ、ほんと。
1stアルバムからして、その片鱗はあった。
あんだけエッジの効いた男気あふれる「Shine」のあとの曲「明日また晴れますように」のサビはなんと、
「ランラン♪、ランラン♪」
もちろん悪い曲ではないですが、キャンディキャンディかと思ったよ(笑)
凄い振れ幅だなと思いつつも、聞き手は1stらしいごった煮だとか、ゴーストライターがいるに違いないとか言いながら、己の中でなんとか消化してきた。
でも、ご本人は常にその先に行く。
「音楽は自我じゃない」とか「Party girlの歌詞が等身大のわたし」とか、インタビューで言い散らかして、もう、こっちの幻想は全く顧慮しない。
ほんと勘弁してほしい(涙)
とか思えば、武道館ライブでの「I promise you」で、感極まったようにギターが一瞬止まったり、こっちの思い入れを掻き立ててくれたりする。
この曲は13歳にして初めて作った曲とのことですが、とっても闇が深い。
この曲が武道館ライブの大カラオケ大会を終わらせて、闇に招き入れていく。
家入レオさんの「5th Anniversary Live at 日本武道館」。
1stのクワトロライヴの映像を溺愛する身としては、正直、あまりの変わりように眩暈のする内容ですが、間違いなくマスターピースです。
メジャーの要請も正面から受け止め、1st好きのファンダメンタリストの期待にもちょっと応えてあげて、今のご自身の嗜好であると思われる暴れる音楽も存分に発揮されており、もう、ワンステージでここまでの音楽観の幅を見せてくれるミュージシャンはほかにいない。
でも、
そう、でも、それでも、なんだろう、客受けのための、10曲目までの大衆受けセットリストは必要なんだろうか。
アリーナを引かせるぐらいのやりたいことを突き通す何かを持っていてはいけないのだろうか。
1st回帰ではないのはしょうがないとして、
「J-POPで生きていく」
とかはいらない決意であり、彼女の音楽性をおかしくする思いではないか。
武道館埋める1万人ぐらいなら、日和らない家入レオについていくコアなファンは十分な数がいる、はず、いや、いるよね。
うがった見方なんだろうが、この長い長い大サービスタイムは、家入レオさんの恐怖心、シーンから消えてしまうことの恐怖を表しているように思えてしまう。
あなたの人生はもう大丈夫だよ、とか、ね。
もはや他人の期待を最優先に考慮しなくても、全然問題ない地点まで来ているはずだよ、とか。
声をかけたい思いはあるけど、実際はあなたは誰よりも強くて、さらに先を目指して残酷に裏切り続けていくのだろう。
でも、武道館は通過点、その先というが、そこには音楽はあるのか。
もはやその先は、エグザイルとかの演芸や、B'zのような産業しか待っていないと思う。
それでも行くんだろうなぁ。
もうクロスロードは渡っちまった・・・・。
この道を歩いていきます。
そのうち、ライブ行くかも(笑)