ギターがキジマックスではなく梶原さんという超ディストーションギターのひとで、バッキングがあまりよろしくない影響もあったのかもしれないが、にしても、いまいち決まらない。
声も出ていない。
あのソリッドな世界観が失われてしまっている。
簡単に言うと、もうBless youが似合わなくなっている、歌と家入レオさんが乖離してしまっているように感じた。
わたくしの目には、20歳のひとが17歳の自分と戦っているように見えた。
凄い葛藤があるんだろうなぁ、としみじみ見てしまった。
最近見つけたデビュー当時のインタビュー。
にしてもネットはすごい。
例えばガンズのアクセルのデビュー当時のインタビューなんてRockin'Onが載せてくれない限り見ることなんて絶対できなかったろうに、今は簡単に昔のインタビューが見れてしまう。
家入レオ「LEO」インタビュー (3/4) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー
<引用はじめ>
おいしく聴ける賞味期限がある
──レオさんはこれまでの人生経験を通して、俯瞰的に自分や周囲を見る視点を養ってきたと思います。だからこそ、17歳である自分の揺らぎも強く実感していて。揺らいでいる今の自分を鋭く対象化できているから、1曲1曲によどみない意思と強い存在感を感じさせるアルバムを作れたのだと思います。
そうですね。だから、もがいている自分を曲にして、それをそのまま発表させてくれる環境にも感謝しているんです。このアルバムは17歳の私だからこそ歌える曲にこだわって作ったし、変な話、おいしく聴ける賞味期限があると思うんです。17歳の私が歌うからこそ届く曲と、大人になった私が歌うからこそ届く曲があると思うので。だから17歳の内に歌える歌をとにかく詰め込みたかったです
<引用終わり>
デビューしたばっかりで、高校の放課後に受けたインタビューでこんなこと言ってたんだ。。。。
確率だけで見ると、30歳になってもサブリナとshineとBless youを延々歌い続ける人になっちゃう可能性は結構高いだろうしね。
それを避けるために、賞味期限切れの曲を歌い続けなくてもいいように、明示的に変わっていこうとしてもがいていることを今更ながら理解した。
何とも言い難いアルバム「WE」から約2年近く間をあけて発表した「TIME」。
まだ買ってないけど、情報だけ見ると自分で作った曲は2,3曲であとは楽曲提供を受けたものだとか。
「RELAX」とかyoutubeで見たけどなかなかよろしい感じであったが、他人の曲。
これもインタビューで読んだ覚えがあるのだが、WEのあとに時間があったので曲は結構書いた、とのこと。
でも開けてみたら、提供曲がたくさん。
思うに、自分の中の音を今必死に入れ替えている最中なのではないか、と。
WEのあとに出来た曲はどうしてもBless youとかサブリナのような真っ黒な曲になってしまい、新しい音を出そうと、今の自分にあった歌を作ろうとピアノやってみたり、他人の曲をたくさん歌ってみたり、ひたすらもがいているのではないか、と。
さて、ライブは最初の曲が「勇気のしるし」。
普通こういう曲はアルバムに入れるけど、実際には生で歌うことはできない曲。
音は飛びまくっているし、演奏も大変そうだし。
それをライブ一発目にぶち込んできて、これがまた決まっている。
ギターが梶原さんという、ジョージ・リンチあたりが好きそうな超ヘビメタなギターのひとで、これが音を分厚くしていてグルーヴがぐるぐる回ってなかなかよい。
走りそうで簡単には走らないJIBUさんのドラムも相変わらず、渋くていい。
家入レオさんもいきなり暴れて、しっかり歌えている。
最近の趣向はこういう暴れ音楽なんでしょう。
1stライブのように精密に歌うことをはせず、細かいことは気にせず楽しそうにブンブン歌いまくっていて、非常に堂に入ったスタイルになっている。
最後の4曲の流れもいい。
Who's that ~ Papa & mama ~ 純情 ~ サブリナ。
JIBUさんが死にそうになりながら必死にドラムたたいているのがおかしかった。
それなのに、サブリナの長い長いアウトロの最後に家入レオさんが
「バンドメンバーも出し切れ!」
「こんなもんか?!こんなもんか?!」
とあおっているのもまた可笑し。
3rd NHKホールのライブにあったような、過剰に「一風変わったわたし」を演出する小細工もなく、正面から音楽のクオリティを上げることで見事なステージになっていた。
アンコールの「TWO HEARTS」。
アウトロのコーラスをバックにステージの隅から隅まで歩いて、観客席にありがとうといつものあの表情でマイク無しで言い続けている姿は感動的でもあった。
この曲は4thアルバム「20」の「心のカタチ」のあとに何でもなく流れている曲。
ご本人がよく言う「ライブで歌うと曲が違う表情をする」という、まさにそれだった。
自我じゃない。
自我じゃないとのインタビューでの発言を読み、本当に裏切られた気分だった。